寺庭さんの絵手紙シリーズ
第六通目
観音さまは慈悲の菩薩さまです。菩薩さまは私たちと同じように、仏を目指して
日々ご修行に励まれているお方です。もしかして、隣りのあの人も観音さまかもしれませんね。
だいぶ前の事ですが、ある老人から
「坊さん、観音さまを拝んだらどんな良いことがあるのか。南無観世音と祈るだけではなく、もっと具体的な観音信仰の価値やご利益を教えてくれ。」とせがまれたことがあります。少し悲しい気持ちになりました。
観音霊場の四国八十カ所や西国三十三カ所を巡るお遍路さんは、ただひたすらに寺を巡り、ただひたすらに「南無大師返照金剛」「南無大悲観世音」とお参りをされています。
ご朱印を頂き道すがら有難いお接待を頂戴したり。
巡礼は様々な生きた菩薩さまに巡りあい、共に礼する旅でもあると思います。
ちょっとでも自分の得になるように、などといった価値やご利益目当ての悪心を吹き飛ばしてくれるのが観音さまの不思議なありがたさであるように思います。
いく千代も みちびきたまえ 観世音 長く勝る(すぐ)るる 蓮の臺(うてな)に