山門庫裡改修記録8

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立柱 上棟

袖壁の透かしは波欄間。波の上下でアールが異なる。屋根は大和張り。
目には見えないが、支える腕木は柱内部で込栓の力を最大限発揮できるように特殊な構造になっている。
袖壁に使用する目板瓦は特注の尺三寸
柱はチェーンブロックを使って丁寧に立てる。
この日の為に事前に柱を仮立てして寸法が正確なことを確認済み。柱形状は胴張。
貫とホゾの構造に注目下さい。貫は先端に向かってやや細い。社寺建築においてクサビは両側から入れているが、衞藤さんの発案で、今回は一方から固める。内部でがっちり組み合わされ、従来多く見られた、クサビの抜けようがない。
このように精巧で計算され尽くした加工は他に例を見ないであろう。
棟上の朝。
3本の太瓶束は仏法僧の三宝を表す。枡はマキの木。
7月30日棟が上がったところ。天候快晴。強い日差しの照り付ける中での作業。
桔木は束、野棟木、母屋と組み合わせる。先端は茅負を貫通し、込栓で直接連結する独自手法。
棟から軒までを従来より強固に結合できる。尚、桔木を入れなくても垂木だけで充分耐える構造になっている。天井板は杉の一枚板を横に使用。見上げた時の木目の美しさが冴える。
破風板の内側に控え破風を採用して2重構造に。従来の社寺建築には無い合理的発想。破風板は20年以上寝かせたカヤの木を使用。カヤ独特の芳香が芳しい。
雨に見舞われずに棟上げを終えられた。数日後、東の空にかかった虹。

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